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有期労働契約の黙示の更新

2013.06.27

 柏の弁護士の山田智明です。

 1990年代後半から,契約社員,派遣社員といった不正規の雇用形態が増加傾向にあり,現在では,3割が非正規雇用と言われています。このうち,契約社員というのは,法的には,期限の定めのある労働契約(有期労働契約)のことを指します。

 有期労働契約の中に自動更新条項がないにもかかわらず,期間満了後もそのまま継続して働いているケースが少なくありません(自動更新条項がある場合には,その条項に従い,更新されます。)。この場合,労働契約は,どのような扱いになるのでしょうか。

 このような場合について,民法629条1項前段は,「従前の雇用と同一の条件」で更に更新したものと推定されるとしています。問題は,「従前の雇用と同一の条件」が,労働契約の期間の定めにも及ぶかどうかという点です。

 これについては,学説や裁判例は,次のように二分されており,最高裁判例もないので,実務上の取扱いは定まっておりません。
 一方の考え方(労働法の大家である菅野和夫先生の考え方)は,「同一の条件」には,期間も含み従前の有期労働契約と同一の期間の有期労働契約が更新されるという解釈です。
 もう一方の考え方は,更新された後に解約する場合,期限のない雇用契約の解約の申入れの規定(民法627条)を援用していることから(民法629条1項後段),「同一の条件」に期間は含まれず,期限の定めのない労働契約(無期労働契約)に転化するという考え方です。
 後者の考え方によった場合には,使用者側からの解約(解雇)は,解雇権濫用の法理を成文化した労働契約法16条が適用されることになります。但し,解雇権濫用になるかどうかは,当初から無期労働契約を締結している場合と同様に判断すべきかどうかという点も判断が分かれるところです。

投稿者:柏第一法律事務所

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